スマホ・タブレット用デイジー再生アプリ「ボイス オブ デイジー」 有限会社サイパック 取締役社長 工藤智行 ■ ボイス オブ デイジー ボイス オブ デイジーはスマホ・タブレット向けに開発したデイジー再生アプリです。最新版はAppleのiPhone, iPod touch, iPadのiOS 5.0以降のデバイスで動作します。 アプリはオンラインのApp Storeより購入できます。主たる機能は次の通りです。 ・DAISY 2.02対応 ・目次一覧・ページ一覧からの再生 ・しおり機能 ・再生速度・ピッチ・間のカスタマイズ ・表示色のカスタマイズ ・ピンチイン・ピンチアウト ・タッチした場所へのジャンプ ・VoiceOver対応(VoiceOverはiOSデバイス標準装備のスクリーンリーダー) ・USBケーブルによるデータ転送 また、アメリカのLearning Ally(旧RFB&D)向けにOEM版(Learning Ally Audio)も出荷しています。こちらは、オンラインのライブラリからデータをダウンロードする機能、先生が生徒の読書の進捗具合をチェックする機能(Teacher Ally)を実現しています。 ◆ これまでの進化 2009年12月に世界で初のiPhone, iPod touch用のデイジー再生アプリをリリースしました。その後、2010年にiPadに対応したバージョン2.0、2012年にバージョン2.1をリリースしました。さらに日本国内のデイジー教科書に対応するために2013年10月にバージョン3.0をリリースしました。バージョン3.0では次の機能を実現しました。 ・縦書き・ルビ対応 ・ハイライト位置のコントロール ・細かな色設定 ・DAISY 3.0のMathML対応 ◆ ボイス オブ デイジー4.0 2014年2月にリリースした、ボイス オブ デイジーの4.0では以下の機能をサポートしています。 ・オープンイン機能 ・ナビゲーション機能の大幅見直し ・音声の再生精度の向上 ・単語単位でのハイライトへの対応 ・XMLのエンコーディング名の強化 ・マルチタスク ・フレーズ単位の移動 ・イヤホンのボタンによる再生コントロール ・シャッフルやイヤホンの引き抜きによる再生停止 今回、オープンイン機能を実現したことで、SafariやDropBoxでダウンロードしたデイジーのデータを取り込むことができるようになりました。従来iTunesというPC/Macで動作するソフトを使い、デイジーのデータをiOSデバイスに転送しなければなりませんでしたが、これが不要になりました。 ■ Android版ボイス オブ デイジー 昨年のCSUNに出席し、次のような観点よりAndroid版のボイス オブ デイジーを開発する時期が到来したことを認識しました。 ・TalkBackが実用的なレベルに進化した ・Android 4.1以降TalkBackが標準装備 ・CSUNではAndroidのアクセシビリティ関連の発表が多く注目されている ・iPhone, iPadが途上国では高額であり手がでないため利用しにくい ・欧米ではAndoridのデバイスのシェアがiOSデバイスを超えている すぐにAndroid版の開発に着手し、約5ヶ月後の昨年8月にLearning Ally向けのAndroid版ボイス オブ デイジーをリリースしました。その後、縦書き・ルビ対応等の日本国内向けの機能の開発を続けています。まもなく日本国内向けの製品をリリースできる見込みです。 ■ 今後の課題 今後のボイス オブ デイジーの開発課題は次の通りです。 ・ 音声合成システム(TTS)によるテキストDAISYの読み上げサポート ・ ユーザ作成本棚機能 ・ 検索機能 ・DAISY 3.0、EPUB3/DAISY 4対応